「最高人民法院によるインターネット法院事件管轄に関する規定」
中國において、北京、杭州と広州にはインターネット法院があり、様々なインターネットに関する事件を専門として扱っている。審級として、インターネット法院は第一審法院と同じであるため、インターネット法院とその他の第一審法院の管轄権をどの基準で定めることは一つの課題となる。2018年9月7日より施行された「最高人民法院によるインターネット法院事件審理に関する若干問題の規定」(法釈〔2018〕16號。以下、「2018年規定」という)はこの課題の解決を試みたものである。インターネットにおける司法実務の実態に照り合わせ、2025年10月11日、最高人民法院は、この規定の管轄に関する規定を改正し、「最高人民法院によるインターネット法院事件管轄に関する規定」(法釈〔2025〕14號。同年11月1日より施行。以下、「新規定」という)を公布した。新規定は4條からなり、主な改正內容は以下の通りである。
一、管轄範囲の追加
2018年規定をもとに、新規定には、「インターネットデータ権利の所屬、不法行為、契約紛爭」「インターネット個人情報保護、プライバシー権の紛爭」「インターネットデジタル資産権利の所屬、不法行為、契約紛爭」「インターネット不正競爭紛爭」という四つの紛爭をインターネット法院の管轄範囲に新たに追加されている。
二、管轄範囲の調整
2018年規定によると、「締結行為、履行行為のいずれも、インターネットにおいて完了した金融借入契約をめぐる紛爭、小口借入契約をめぐる紛爭」「インターネットにおいて、初めて発表された作品の著作権又は著作隣接権の帰屬をめぐる紛爭」「インターネットにおいて、オンライン発表又は伝達された著作物の著作権又は著作隣接権を侵害したことにより生じた紛爭」「電子商取引プラットフォームを通じて購入された製品に製品欠陥があり、他人の人身?財産権益を侵害したことにより生じた製品責任紛爭」等の紛爭は、いずれもインターネット法院により管轄されるものであったが、新規定の施行により、上記事件はその他の第一審法院により管轄されることとなった。






