『會社法(改正草案三次審議稿)』意見募集
概 要
中國全人代常務委員會は9月1日に『會社法(改正草案三次審議稿)』(以下「草案」という)を公表し、9月30日までパブリックコメントを募集した。
本草案では、主要株主と実質的な支配者に対する規範を強化し、株主の権利保護を強化している。一部の改正點は、大まかに以下の5つである。
(1) 登録資本金の出資引受制度の改善
登録資本金の出資引受制度のもと、出資における期限の利益が設けられている。すなわち、出資の期限が來るまで、株主は出資義務を負わない。しかし、実務上では、株主の出資期限が長すぎることが取引の安全性を損ない、債権者の利益を損なうことがあった。これに対応するため草案では、有限責任會社の株主が引き受けた出資額は、會社設立から5年以內に全額払い込まなければならないと規定している。
(2) 株主の権利保護をさらに強化
草案は現行『會社法』を踏まえ、中小株主が反対株主の株式買取請求権を行使できる場合について、「會社の支配株主が株主の権利を濫用し、會社や他の株主の利益に重大な損害を與えた場合、他の株主は會社に対し、合理的な価格で株式を買い取るよう請求する権利を有する。」と追加した。この規定は、中小株主に対する新たな救済措置を提供するものである。
(3) 會社の民主的管理の規定の改善
従業員を代表する従業員取締役は會社の経営構造でより大きな権限を持ち、會社の「社會的責任」を反映させる。草案は第17條2項に「従業員代表大會を基本形態とする健全な民主管理制度を構築する」という內容を追加し、會社內での従業員代表大會の地位を確立している。第68條では、従業員が300人以上で監事會を設置していない會社において、取締役會に従業員取締役を設けることが強制的に求められている。また、他の會社では従業員代表を含めることも可能となる。
(4) 支配株主と実質的な支配者に対する規範をさらに強化
実務上、會社の支配株主や実質的な支配者の中には、會社に勤務していないものの、會社の業務を実質的に支配し、會社や他の株主の利益を損なう者が存在する。現行の第21條では、會社の支配株主や実質的な支配者が関連関係を利用して會社の利益を損なう場合の賠償責任についてのみ規定している。草案では第180條に新たに規定を追加し、會社の支配株主や実質的な支配者が會社の取締役として勤務していないが、実際には會社の業務を実行している場合、取締役の誠実義務と注意義務の規定が適用される。これにより、會社や他の株主の合法的な利益を保護するようになる。
(5) 減資は同じ比例で行う
非上場會社の場合、株式の譲渡または反対株主の株式買取請求権に加え、非比例的な減資も株主が會社から退出するための有効な手段となっている。特にバリュエーション調整メカニズム契約(VAM)では、非比例的な減資は投資機構にとってターゲット企業から撤退するための重要な方法の一つである。しかし、現行の『會社法』や前2回の草案と比較すると、本草案の第224條で初めて「會社が登録資本を減少させる場合、株主の出資または持株比率に応じて出資額または株式を減少させなければならない。法律に別の規定がある場合、この限りではない。」という規定を追加している。當該條文は強制規定としており、當該規定と異なる意思の自治が認められていない。たとえ対象となる減資が全株主の一致による合意や會社定款に別段の定めが存在する場合であっても、前述の規定に反する行為は法的リスクを伴う。






