「中國(上海)自由貿易試験區條例(2025)」
2025年9月25日、11年間の改革の成果を國內外の事業者に示し、引き続き全國の制度型開放をリードするために、2014年8月に施行された全國初の自貿試験區法令である「中國(上海)自由貿易試験區條例」が上海市人民代表大會常務委員會により改正された。2025年9月29日をもって「中國(上海)自由貿易試験區條例(2025)」(以下「新條例」という)は施行された。
一、「辺境後管理制度」の創設
環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(CPTPP)等の國際的なハイレベル協定を參照し、新條例における開放はさらに環境保護、労働基準、デジタル貿易、データ越境流動といった深層的なルールまで拡張された。中國國內経済ルールを熟知する企業にとっては、これは國際基準に対応するチャレンジであると同時に、新たな規制に対応できる能力を身に付けるチャンスでもある(53條-58條)。
二、金融分野の「サービス」から「開放」への転換
今回の改正では、金融分野において、規制の重點は、「金融サービス」から「金融開放」に転身したことである。具體的には、金融インフラの構築推進、金融要素市場の対外開放拡大、自由貿易勘定システム(FTA口座)を中核とした越境金融サービス及びオフショア金融業務の整備が盛り込まれた(26條)。
三、貿易円滑化及び人材集積
新條例は、オフショア貿易やグリーン貿易その他の新業態?新業務を支援し、貿易の構造転換を促すものである。サービス貿易では、越境サービス貿易ネガティブリスト管理制度を導入し、外資參入制限が緩和されている。さらに、バイオ醫薬やAIなどの重點産業を含む全産業チェーンの発展を支援し、國內外の優秀な人材誘致を強化するため、より利便性が高い外國人出入國?滯在政策や、永住権手続き等のグリーン通路が整備されている(13條-20條、32條-38條等)。
四、データ越境流動規制の整備
今回の改正では、CPTPP等の高水準ルールを參照し、データ越境流動に関する規制が整備された。具體的には、ネガティブリストと操作ガイドラインを中核とするデータ安全適合性越境メカニズムを構築している(47條)。企業は、データ越境に関する厳格なネガティブリスト管理、安全評価、及びデータ製品の知的財産権登録といった新たなコンプライアンス要件への対応が必須となり、データ利用と越境におけるリスク管理の強化が要請されている(47條-52條)。






