『中華人民共和國関稅法』
概 要
2024年4月26日、中國第14期全國人民代表大會常務委員會第9回會議にて、「中華人民共和國関稅法」(以下、「関稅法」)が可決され、2024年12月1日から施行される。関稅の専門法として、「関稅法」は、現行の関稅稅制の基本的な安定性、全體の稅負擔水準を維持し、現行制度と関連政策の內容を改善した。関稅法が正式に施行されると、「中華人民共和國稅関法」と連攜し、現行の國務院の行政法規である「中華人民共和國輸出入関稅條例」が廃止される。
「関稅法」は全7章で構成され、その內容には、総則、稅目及び稅率、課稅額、稅收優遇および特殊な場合における関稅徴収、徴収管理、法的責任、附則が含まれる。主な內容は次の通りである。
1.関稅の適用範囲の明確化。中華人民共和國が輸出入を許可する貨物、及び外國からの物品について、稅関は本法及び関連する法律、行政法規の規定に従い、関稅を徴収するとされている。輸入貨物の荷受人、輸出貨物の荷送人、外國からの物品の攜帯者又は受取人が関稅の納稅者であることが明確化される。また、越境電子商取引の発展に適応するため、関連分野における源泉徴収義務者について明確な規定が設けられる。
2.関稅の稅目稅率の設定、調整及び実施の規範化。関稅稅目稅率表を明確に含む輸出入稅則、関稅稅率の種類が明確化され、輸入段階の最恵國稅率、協定稅率、特恵稅率、普通稅率、輸出段階の輸出稅率、輸出入段階の関稅割當稅率、暫定稅率などを含む、各種関稅稅率の適用規則と調整メカニズムが規定される。
3.課稅額、稅收優遇および特殊な場合における関稅徴収などの制度の改善。⑴関稅が従価徴収、従量徴収、複合徴収方式を採用して課稅額を計算することを規定し、現行の関稅の課稅価格の確定規則を維持すること;⑵免稅や減稅の項目を明確にし、國家利益を保護し、対外交流や経済社會発展、科技科學技術革新の必要性、または突発事件などの理由で、國務院に関稅特別優遇政策を制定したうえで、全國人民代表大會常務委員會に報告する権限を付與すること;⑶現行の関連政策を維持し、減稅?免稅の貨物、保稅貨物、一時的な輸出入貨物?物品など特別な場合における関稅徴収を明確にすること。
4.國際的な高水準の経済貿易規則との連攜、関稅徴収管理制度の改善。⑴関稅徴収管理において、通関許可と稅額確定を分離するモデルを実施できること;⑵納稅者や源泉徴収義務者は規定に従って稅関で申告して納稅し、稅金の一括納付ができるようにすること;⑶納稅者による過払い稅金がある場合には、還付の申請期限を1年から3年に延長すること;⑷稅関は過徴収を判明した場合、納稅者に対して速やかに還付すること。
5.関稅対応措置の充実化。現行の反ダンピング、反補助金、保障措置などの関稅措置、報復関稅措置を維持する前提のもとで、中國と締結または共同で參加している國際條約や協定における最恵國待遇條項や関稅優遇條項を履行しない國や地域に対し、対等の原則に基づき相応の措置を講じることができる規定が追加される。






