「中華人民共和國稅関輸入食品海外製造企業登録管理規定」
2022年1月1日より施行された「輸入食品海外製造企業登録管理規定」(稅関総署令第248號。以下、「2022年規定」という)には、特定の品目について、製造等を行なった企業の情報を日本政府が中國政府に登録することが求められている(同規定7條)。ポストコロナ禍において、企業のコンプライアンスコストを削減し、貿易を円滑化させるため、2025年10月14日、稅関総署は2022年規定を改正し、「輸入食品海外製造企業登録管理規定(2025年)」(稅関総署令280號。2026年6月1日より施行。以下、「新規定」という)を公布した。新規定は33條からなり、主な改正內容は以下の通りである。
一、「公式推薦登録が必要な輸入食品リスト」制度の追加
2022年規定7條には、日本政府による中國政府への企業情報登録が求められる特定の品目が定めていたが、新規定には、「公式推薦登録が必要な輸入食品リスト」制度(6條)を規定し、柔軟な法規制を求めているため、品目の特定は規定により定めなくなることとなった。
分類として、改正は些細なものに留まるが、登録に必要な書類もこれにより改正された。リストに記載されている食品を中國向けに輸出する場合、日本政府の審査と推薦が必要であるが(8條)、基本情報の提出義務者は日本政府ではなく、企業であると改正された(9條)。
二、登録方式としてリスト登録の追加
輸入食品海外製造企業について、所在する國?地域の食品安全管理システムが稅関総署の認可を得ており、さらに、①稅関総署と輸出入食品安全協力契約を締結している場合、②中國と食品安全協力內容を含む契約、覚書、共同聲明等の協力文書を締結している場合、又は③稅関総署がリスク評価を経てリスト登録方法を採用可能と判斷したその他の場合のいずれか一つの要件を満たしたら、稅関総署は、當該國?地域の主管當局との書面による合意に基づき、リスト登録方式を採用できることを認めるとする(17條)。
日本と中國は、2010年にて「日中食品安全推進イニシアチブに関する日本國厚生労働省と中華人民共和國國家質量監督検験検疫総局との覚書」という文書を締結したが、2018年から長年に同覚書に記載された閣僚級會議を招集してなかった。今年3月第6回日中ハイレベル経済対話において、日本厚生労働省と中國海関総署が「日中食品安全推進イニシアチブ」の枠組みを活用し、実務者間での対話を継続することが奨勵された。これを契機として、リスト登録制度が利用される可能性が高いと考えられる。
リスト登録を採用する場合、當該國?地域の主管當局は推薦登録企業リスト、企業名稱、生産工場住所などを含む登録申請情報、2國間協力文書に定められた責任を継続的に履行する旨の承諾聲明などを提出する必要がある(18條)。
三、登録有効期間の自動延長
2022年規定では、輸入食品海外製造企業は、登録の延長を要する場合、登録の有効期間満了日6ヶ月から3ヶ月前までの間に、登録申請ルートを通じて、稅関総署に登録延長申請を行わなければならない(2022年規定20條)。新規定では、登録有効期間(5年間)が満了後、自動的に5年間延長されるとしている(21條)。これにより、輸入食品海外製造企業のコンプライアンスコストはある程度削減されることになる。
なお、「自動延長が認められない食品リスト」に掲載された品目の製造企業や、登録要件違反により改善期間中にある企業などは対象外となる(22條)。






